そのいち


リチャ
「そんな訳で、まずはお約束通りの挨拶から。フリーの情報ウサギでフルネームはリチャード稲葉(いなば)。好きな食べ物はニンジン、あとシュークリームや紅茶も好きだ」

すずり
「……あによ、その妙に幅広い好物は」

リチャ
「こう、ウサギは紳士だからな。午後は優雅にパラソルの下で転がりながら、紅茶を嗜むというのが正しい在り方」

すずり
「どう考えても、それはウサギじゃなくてアンタだけだから」

リチャ
「紳士の生き様は中々理解されないモノだ」

すずり
「ってかさ、誰もアンタの好みは聞いてないから。いいから早く本題に移りなさいよ」

リチャ
「それではこのコーナーは、姫巫女についての色々な設定を説明していくというコーナーな訳なのだが。すずり的には、何か知りたいとか聞きたいとかあるか?」

すずり
「別に無いわよ」

リチャ
「いきなり最終回みたいな勢いはやめてくれ、ウサギ的に悲しすぎる」

すずり
「そんな事言われても、アタシは別に姫巫女でも何でもないんだから。強いて言うなら、戦ってる鬼の弱点とか知りたいぐらいよ」

リチャ
「弱点はそもそも個体によって異なるのが常だからな。胃腸が弱くて牛乳を飲むと腹を壊す連中もいる」

すずり
「ずいぶんとイヤな鬼ね、それは」

リチャ
「日本の神道とかそういった部分からもかいま見る事が出来るのだが、八百万の神という言葉もあり。あらゆる事象の中に神という存在を見出し、その中でも堕ちた存在を基本的に『鬼』として認知している」

すずり
「つまりは、千差万別な為に共通した弱点みたいな表現はしにくいと?」

リチャ
「生き物を模している存在である以上は、頭部や心臓部といった臓器などを持ち合わせている訳だ。だからそういった部分が弱点と言えば、弱点と表現出来る」

すずり
「ずいぶんとざっくばらんな表現ね」

リチャ
「あと、どうして八百万の神と呼ばれるのに、鬼として人々に災いをもたらす存在として認知されてしまうか。それというのも、神には側面が存在するからだ」

すずり
「側面ってあによ。裏でギャングのボスでもやりながら、表向きは慈善事業が大好きなあしながおじさんとでも名乗ってる訳?」

リチャ
「あながち大きくハズレてないな、それは」

すずり
「はぁ?」

リチャ
「神は人々に対して恩恵を与える守護という一面もあるが、人々の信仰というのは恩恵だけでは集まらない。災害をもたらし、祟るからこそ、神は畏れられ同時に信仰を集めるに至るという訳だ」

すずり
「どこの恐怖政治よソレ」

リチャ
「例えばなんだが、すずりは毎日食事をするだろ?」

すずり
「まさか、食べたパンの枚数を覚えているかなんて言い出さないわよね」

リチャ
「自分の手元に食事、食材が運ばれるのにはいくつもの行程や人々の手がかかったりしている訳だ。ある程度安全な食べ物を毎日安定して摂る事が出来る、それは数多の人々の手による恩恵とも言えるだろう」

すずり
「あんまりそういった事を考えた事は無かったけど。確かに、野菜とかを作ったりする農家の人や、魚を捕る漁師の人は大変よね」

リチャ
「恩恵も、あまりにそれが浸透して『当たり前』と感じるようになってしまうと、人々は感謝の気持ちを忘れてしまうという事だ」

すずり
「だから、感謝には祟りといった災害がセットになる事で……って事?」

リチャ
「まぁ、そういった一面を持ち合わせているという事であって。常にすべての神々が祟りを行使する訳でも無いのだが」

すずり
「ってかさ、そんなに祟られまくってたら滅びるわね。間違いなく」

リチャ
「ただそうやって八百万の存在すべてを神々と言うには、神という言葉では妥当では無くなってきた部分もある。これも時代の移り変わりという所ではあるのだが」

すずり
「なんか仰々しいしね、神って言うと。こう……クンッって指先を動かすだけで地殻変動とか起こしそうな感じするし」

リチャ
「なので世間的には神と言われていた存在が、精霊という言葉に一部置き換わった。仏教用語では死者の魂を指す事もあり、仏よりはよほど人々にとって身近に感じられる言葉だという所でもあるのだろう」

すずり
「でも、人も死んだら『ホトケになっちまったか』とか言われる事もあったりするんじゃないかしら」

リチャ
「それもある。あとは死んだ聖人も神と同列に扱われたりと、かなりごちゃごちゃしている部分も多い。なので現在としては、とりあえず八百万の目に見える事の無い数多の存在を単純に『精霊』として姫巫女達は認知している訳だ」

すずり
「んでもって、その精霊とかの中でも悪さをする連中が『鬼』って呼ばれるカテゴリーに入る訳ね」

リチャ
「そうなる。特に、形状というか、生物的な所での制限は無いため、精霊には人の形を模したモノもあれば、虫に酷似していたり、物体の形をしていたりとする」

すずり
「同じようにして鬼の形というのも、さまざまであるって結論に辿り着くのね」

リチャ
「ちなみにここにいるプリティでナイスガイ、クールで頼れるとちまたで評判のウサギも実は精霊なのだが」

すずり
「精霊は物体の形をしているから、足ふきマットも精霊であると主張するって事があったりするのね」

リチャ
「酷ぇ! 酷すぎる!!」

すずり
「ま、とりあえず要点をまとめてみると」

・八百万の存在である神々は、時代の移り変わりで精霊と呼ばれるようになった
・精霊の中でも堕ち、悪意に満ちた存在は鬼と呼ばれるようになる
・精霊や鬼の形は千差万別、人の形もあれば獣や虫の形もある

リチャ
「おおむねそんな感じだ」

すずり
「けど、元々が神って割にはびみょーに能力値とか落ちてない?」

リチャ
「それは神って言葉のイメージが強いという所だったりするからだ。確かに人々の手では起こせないような災厄を形にする事はあるが、神々という枠だからって指パッチンで色々出来るような訳では無いって事で」

すずり
「それでもまぁ、普通の人間とかと比べたら十分に鬼は強いバケモノの群れだって事なのね」

リチャ
「ま、そういう事だ……って事で、キリが良くなってきたので今回はこれぐらいで」

すずり
「ずいぶんとセールストークが上手になってきたわね、アンタ」

リチャ
「それがウサギの生きる道。そんな訳で、疑問とか質問とかも送ってもらえれば、答えられる部分は答えていきたいと思う。今後の更新もよろしくお願いします、ウサギ的に」

すずり
「一通も来なかったりして」

リチャ
「だからそんな風にさみしい事言わないでくれぇ。ウサギはさみしいと死んでしまうのだからぁぁぁぁ」