そのじゅうよん


リチャ
「さて、そんな訳でおもむろに始まった訳だ」

すずり
「あにがよ?」

リチャ
「一人一人の登場人物にスポットライトを当て、細かく紹介をしていくという魅惑のコーナーが!」

すずり
「何がどう魅惑なのかさっぱりわかんないんだけど」

リチャ
「このウサギのさまざまな秘密に赤裸々に迫る、今週ならではの口伝をお伝えする。それだけでもゾクゾクと背中に走る何かがあるだろう!」

すずり
「無いわよ」

リチャ
「何故だぬあっ! こんなにもプリティでナイスガイ、ミラクルでウサビッチな全方位マルチタスク乱れ撃ちラビットなのに!!」

すずり
「そもそも姫巫女というタイトルにおいて、アンタはオマケの存在なの。ハンバーグについてくるニンジンみたいな物なのよ」

リチャ
「ふむ……このウサギ、ニンジンは好物ですが何か?」

すずり
「この馬鹿ちん。まぁいいわ、とりあえずそのすばらしいウサギの生態とやらを適当にやってみなさいよ。三文字で」

リチャ
「短すぎるぞッ!」

すずり
「ほれいいからやりなさいよ。それとも三文字で不満なら二文字にするけど」

リチャ
「ちょっ! それはもっと無茶だっ! え、えっと……三文字、三文字……『イカス』っていうのでどうだ!?」

すずり
「ワケわかんない。ってか何が言いたいのか論旨がサッパリと伝わって来ないわよ、そんな単語じゃ」

リチャ
「えぇい、無茶言うでないわぁっ! これでもウサギなりに知恵と勇気を凝縮してお届けしようと努力を邁進した結果なのに」

すずり
「努力をするのは重要だけど。努力とは結果を出す為の途中結果、それは個人の糧となるかもしれないけど。今ここでアンタが求められてるのは結果なのよ」

リチャ
「だから……イカス……」

すずり
「とりあえず二文字に削りましょう。って事で、アンタは『カス』で」

リチャ
「それは酷すぎるっ!! 泣くぞ、激しくも雄々しく泣くぞ!」

すずり
「とりあえず紙はトイレにあるから好きにしなさいよ」

リチャ
「しくしくしくしく……」

すずり
「んで。とりあえずアンタがカスじゃないってのなら、その素晴らしいウサギっぷりをアピールしてみなさいよ。そこで泣き続けてたら本当にただのカスになるわよ?」

リチャ
「うむっ、ならばこのウサギの生き様を聞くと良い!」

すずり
「しかしウサギの生き様を最初に語る、姫巫女の人物紹介って何か間違ってると思うんだけど」

リチャ
「吾輩はウサギである。名前はまだな……(踏みッ)ほごあうッ!?」

すずり
「レッドカード、退場」

リチャ
「ちょっ、い、今のはちょっとしたウサギの小粋なジョークってヤツで」

すずり
「全力でパクリじゃないのよ。しかもそれだけ有名な所から引用したら、それこそ訴えられて負けても文句言えないわよ」

リチャ
「とりあえずもう少し別の切り口という事で。このリチャード稲葉は、綾文家の姉妹に対してお手伝いをしているという立場である」

すずり
「別にアタシは頼んでないんだけど」

リチャ
「まぁまぁ、そんなさみしい事を言いなさるな。これでも情報ウサギとして鬼の情報を集めたり、紅茶を淹れたりと役に立っているではありませぬか!」

すずり
「それだけ聞くと、情報ウサギってよりは執事とかに近い印象もあるわね」

リチャ
「執事……それは主の為には命をなげうって奉仕する、まさに美しい生き様。しかしウサギは命が惜しいので、身体を張って死ぬような真似とか出来ません」

すずり
「ただのヘタレじゃないの」

リチャ
「あまりウサギに多くを求めちゃ、めーなの! めーっ!」

すずり
「そこで逆ギレかまされるとは思わなかったわ」

リチャ
「しかし冗談抜きでな。ウサギの身には色々と余る事も多く、鬼と戦うにはあまりに攻撃力とかそういった部分が不足している」

すずり
「全面に出て戦えとはいわないから。イザって時はアタシの盾になりなさいよね」

リチャ
「おおぅ、貴方とても酷い人。このかよわいウサギを盾にするなんて、どんな鬼畜ですかこんちくしょうめ」

すずり
「それもまたウサギの道なのよ、きっと多分」

リチャ
「のぉーっ! それは断じて否。まぁともかく、そんな訳ですずりの姉である沫莉とも知り合いだったりする訳だ。むしろ良き友人としての付き合いがありました」

すずり
「その割にはあまりおねえちゃんの話とかしないわね、アンタ」

リチャ
「正直、当時は沫莉と一緒に行動するという事よりも。色々と情報を集めたりする為に奔走する事の方が多くて、あまり沫莉と一緒にいた時間は長く無いんだ」

すずり
「そうなの?」

リチャ
「まぁここから先は少しだけ微妙な話にはなるのだが。沫莉が鬼に襲われた時、ウサギは沫莉の頼みで情報集めをしておりその場にいなかったのだ」

すずり
「……なるほど」

リチャ
「しかし……アレだな、あまり沫莉関係の話はやめておこう。楽しい思い出とかもあったりするが、まだウサギ的にも心の整理がついていない所もあったりするしな」

すずり
「そうね。確かにそれはあるかも」

リチャ
「話は一気に変わるが。ウサギ的に趣味は色々とあったりするが、実はさりげなく細工とか作ったりするのが好きなのだ」

すずり
「細工って……小細工?」

リチャ
「そんなのじゃなくてっ! ウサギの日用品という事で、ウサギサイズのソファやハンモックなど色々と自作したりしている訳なのだ」

すずり
「それってどちらかってと、工作の方に入る部類なんじゃないの?」

リチャ
「いやいや。その工作するブツの中で、仕上げとかで細かく細工をしたり。角の部分の曲線をいかに美しく削ったりとか、そういうのが好きなのだ。ラブ」

すずり
「そこでラブって単語を持ち出す意味がわからないけど。とにかく工作とか細工とかを好むって事な訳ね」

リチャ
「そうそう。まさに繊細なウサギの一面をかいま見るに相応しいナイスなエピソードだと思わないか?」

すずり
「確かに凄いっちゃ凄いかもしれないけど。ってか情報ウサギやめて、伝統工芸ウサギに改名しなさいよ」

リチャ
「それはそれで何か違ううぅぅぅぅぅぅぅッ!」

すずり
「残念ね。伝統工芸ウサギだったら日本で唯一の存在になれたのに」

リチャ
「ある意味ナンバーワンでオンリーワンかもしれないが……それはウサギとしての立ち位置が訳わからなくなるではないか」

すずり
「最初からアンタは不思議生物で売ってるからいいんじゃない?」

リチャ
「ずががががぁーん! おかしい、これでも隣人に愛される素敵な精霊としてのウサギ道を邁進していたというのに。なぜ世間の風はこんなにも冷たいのだ」

すずり
「とりあえず笑う所でいいのよね?」

リチャ
「おうしっと」

すずり
「んで、他に何か伝えるべきポイントとか赤裸々な生活の一面とかあるの?」

リチャ
「うーむ、実は悲しいかなウサギ宛ての質問がロクになくてな。他のヒロイン宛てのならいくつかあるのだか」

すずり
「その質問をアンタに当てはめてみればいいじゃない」

リチャ
「ウサギの3サイズとか胸のカップとか聞かれても、どう答えたらいいのか。これでも男の子なのだが」

すずり
「他の質問とかにすればいいじゃない」

リチャ
「それが今みたいな感じで、身体的な特徴とか。あとは好きな服装のタイプとか聞かれてるモノで、どうにもウサギ的に答えにくい」

すずり
「ネイキッドだもんね、アンタ」

リチャ
「常時、毛皮のコートをはおっているとも言えるがな。つまりは高級ブランド男!」

すずり
「皮を剥いで高値で売っちゃおうかしらねぇ、ふふふっ」

リチャ
「いやきっと安物ですよ、えぇ」

すずり
「いきなり意見が反転したわね。高級ブランドはどこに行ったのよ」

リチャ
「サブプライム問題で大暴落」

すずり
「サブプライムの内容とか理解してないくせに、勢いで言ってるでしょアンタ」

リチャ
「アメリカが不動産で、どーん」

すずり
「とりあえず勉強しなおしてきなさい。ってかそれじゃワケわからないじゃないのよ、本当に適当なんだから……」

リチャ
「細かい事は気にするな、ちなみにウサギは気にしない」

すずり
「本当に一度、皮を剥いで売った方がいいのかしら」

リチャ
「死ぬから! そんな事されたらウサギは死んじゃうから! さみしくても死ぬけど、皮を剥がれたらDie!」

すずり
「ま、いっぺんぐらいは試してみたら?」

リチャ
「勘弁してクダサイ。しかしウサギ的に答えられる質問も無いし、今回はこのぐらいという所だろうか」

すずり
「あまり赤裸々になってないわよ、ぶっちゃけ」

リチャ
「とりあえず次はすずり、お前の番だ覚悟しろ!」

すずり
「……何をよ?」

リチャ
「このウサギも恐れる質問漬けにしてくれるわーーーっ!」

すずり
「あーはいはい。適当にね」