そのじゅうご


リチャ
「さぁ覚悟はいいかすずり」

すずり
「……は? いきなり何を言い出すのよ、アンタ。生カキは当たったら酷い目に遭うから注意しなさいよ」

リチャ
「ご忠告痛み入る。じゃなくてっ、こう届けられた質問に関してガスガスと答えてもらう覚悟をしていただきたい所存!」

すずり
「言っておくけど、3サイズとかは答えないわよ」

リチャ
「何故にホワイ?」

すずり
「女性の魅力は胸じゃないわよ、というか胸の話題に触れそうな事はすべて殺すわよ。爆ぜさせるわよ、ブチ撒けさせるわよ」

リチャ
「なんだその鉄壁の防御っぷりは! そもそも3サイズとかは誰もが望む重要な情報じゃない……(踏みっ)のぐわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

すずり
「何度も同じ事ばかり言わせるのは愚鈍で無能の証拠よ、このクソウサギ。そこの所しっかり理解して発言しないと、中身がはみ出るまで踏むわよ?」

リチャ
「りょ、了解した……正直すまなかった。悪かった、反省している、だから、だから……ちょっと足をどけてくださいお願いします」

すずり
「わかればいいのよ、わかればね」

リチャ
「ふぅ、あやうく今日も殺されかけてしまった。だがこの程度の苦境にメゲるウサギではないという事で、質問などに答えていく事にしたいのだが」

すずり
「ま、ある程度答えられる事ならね」

リチャ
「すずりはどうして姫巫女では無いのですか? 巫女装束姿のすずりも是非見てみたいのですけれど」

すずり
「んな事言われても、アタシにはアタシの矜持があるし。巫女服を着るために姫巫女になれって言われるのは不本意よ。そもそも姫巫女にはならない、アタシなりの理由があるんだって」

リチャ
「何か理由なんてあったりするのか?」

すずり
「穂乃香には幾度も幾度も誘われたりしたんだけどね。でも単純な話よ、アタシは穂乃香は好きだけど姫巫女は嫌いなの」

リチャ
「ん? 穂乃香嬢は姫巫女じゃないのか?」

すずり
「穂乃香は穂乃香、姫巫女である穂乃香じゃなくて。アタシのクラスメイトの穂乃香だから、アタシはあくまでもクラスメイトの手伝いをしているだけよ」

リチャ
「いまいち要領を得ない答えにも思えるのだが」

すずり
「隊に所属したら面倒事が増えるでしょ。例えば真魚や小鳥とか、他の隊での手伝いに駆られたりする事もあるから。アタシも所属したら、そういった事をしなくちゃいけないじゃないの」

リチャ
「まぁ、そうなるわな」

すずり
「しかし巫女服ねぇ……そっちは機会があるなら着ても問題ないけどさ。あれ実際に購入すると結構いい値段するのよ?」

リチャ
「ドンキホーテとか安売りしてそうな店舗で、3800円ぐらいで売ってそうなモンだが」

すずり
「そういうんじゃなくて、普通に使われているようなモノは万単位よ」

リチャ
「すずりに巫女服を買うぐらいなら、そのお金でウサギは美味しいごはんをたくさん食べられますな」

すずり
「どうして巫女服のお金がアンタのニンジンになる訳よ?」

リチャ
「……食べたいから?」

すずり
「聞かなかった事にするわ。んで、次の質問は何よ?」

リチャ
「リチャードさんが家に来た時のなれそめとか教えてください。という事だが」

すずり
「何か気付いたら住み着いてたわ」

リチャ
「ぬおおぉぉぉぉっぉぉぉぉぉぉッ!? な、なんかもうちょっと感動的なやりとりとかそういった出来事とか無いのかぁっ?」

すずり
「そんな事を言われたとこで、アタシはアンタが来た時の事はあまり深く覚えて無いしねぇ。強いて言うなら、当時のアタシは猫が欲しかったって言った気がする」

リチャ
「な、なんですとぉ! だがこのウサギ、すずりが望むならば猫のまねごとをするぐらいは造作もない」

すずり
「んなパチモンみたいな猫はいらないわよ。ってかアタシにとってリチャードはウサギであって。今は猫よりもアンタが近くにいる方がしっくり来るし」

リチャ
「おおぅ……ウサギ的にそう言ってもらえると嬉しい……」

すずり
「ウソよ。単なるリップサービスだから、安心して」

リチャ
「ちょっ、そっ、そげなっ、そんな酷い……ひどすぎるっ。今、ウサギの純真が弄ばれていますよぉっ。ちょっとそれはウサギ心に傷ついた、とても激しく!」

すずり
「それだけヨゴレのくせに、何が純真よ。何が。ま、とりあえず、なんて言うかあの時の事は記憶がごちゃごちゃになってるのよね。おねえちゃんがいなくなって、ウサギがやってきて、気付いたら居着いてたって所だったから」

リチャ
「色々と大変な時期だったしな……」

すずり
「とりあえず言える事は、色々と食い意地張ってたり抜けてる所も多いけど。今は立派な家族の一員かなって」

リチャ
「すずり……(ぶわわっ)」

すずり
「じゃ、次の質問行こうか」

リチャ
「ぬほぉっ! 何かもう少し余韻とか、感動の抱擁とかそういうのが求められる所じゃないのか今の展開は! どうしてそんなにクール反応するんだ!!」

すずり
「んな事言われても、暑苦しいわよ。ささ、次々やりましょ」

リチャ
「おぅしっと。それでは……すずりの得意な科目と苦手な科目は何ですか?」

すずり
「得意な科目は無し、苦手な科目は体育とかの身体を派手に動かすようなのかしら。運動神経は並ぐらいのつもりだけど」

リチャ
「でもすずり、持久走とかかなり良いスコア出すんじゃなかったのか?」

すずり
「持久走は真魚に鍛えられたせいで慣れちゃったけど。元々あまり運動神経が高い訳でもないし、色々な運動では身長が無いから不利なのも多いのよ」

リチャ
「言われてみると、バスケやバレーはどう考えても不利か」

すずり
「おおむねそんな感じかしらね。勉強は得意でも無いけど、ある程度の成績は取っているつもり。実際に平均点より上はとっているって所で……いいかしら」

リチャ
「では次。他の白兎隊の人達に対する印象を、一言みたいな感じで簡潔に」

すずり
「穂乃香から? えっと……クラスメイト」

リチャ
「あれ? ずいぶんと扱いが低いような感じがするんだが。なんかもっとこう、何かあったりするんじゃ」

すずり
「お節介で世話焼き。ぐらいかしら、とりあえず」

リチャ
「むぅ、そうか。ならば次は鬼の副隊長こと、真魚について」

すずり
「人の皮被った鬼よ」

リチャ
「確かにあの凶悪なまでの訓練はいつもキツそうだったしな。砂場で走り込みとか」

すずり
「体力がついたという事実はあるけど、やっぱり限度はあると思うわ……穂乃香はよくあんな真魚の訓練についていけるとしみじみ不思議に感じるわね」

リチャ
「すずりだって頑張ればいけるとは思うが。基本は諦めるなという事なのだろう」

すずり
「横から見てるだけのウサギは気楽に言ってくれちゃって、このウサ野郎。次から走り込みする時は、アンタも一緒に走らせてやるから覚悟しなさいよね」

リチャ
「それはごめんこうむる。では、駄目隊長な小鳥についてはどうだ?」

すずり
「不自然なぐらいに次に繋げたわね、アンタ。まぁ……小鳥に関しては、おねえちゃんの友人だったって事を知ってるぐらいかしら」

リチャ
「ずいぶんと遠回しだな」

すずり
「正直、あまり会話した事無いのよね。おねえちゃんの事についても話したりしてくれないから本当に仲が良かったのかもわかりかねる所があってさ」

リチャ
「そのあたりは中々話しづらい所があるのかもしれないな。あまりウサギ的にも、沫莉の事で色々と会話するのは難しい気分がある」

すずり
「そういう物なのかもね、確かに」

リチャ
「む、次はかなりきわどい質問が来てるぞ……と。川でリチャードと穂乃香が溺れています、すずりは一人しか助けられません。助けられなかった方は必ず死んでしまいます、どちらを助けますか?」

すずり
「穂乃香」

リチャ
「早ッ!? ってか、ちょっと、少しぐらい悩んでもいいと思うんだが。というかウサギ助けないと死んじゃうんよ? お亡くなりになるんじゃよ?」

すずり
「でもどちらか片方しか助けられないんだったら、仕方ないじゃない。いや、とりあえずアタシも悩んだのよ……苦渋の決断だったわ」

リチャ
「即答だったジャン!」

すずり
「でもこういう質問はあまり好きじゃないわね。実際にそういった場面に遭遇しないとわからない事もあると思うし、どちらかを選べって言われても……基本的にはわからないって言いたくなるわ」

リチャ
「今さっき、ものすごい勢いでウサギは見捨てられた気がしたのですが。ってか即死? サドンデス?」

すずり
「細かい事は気にしない方がいいわよ、毛が抜けるから」

リチャ
「ぉーぅ、なんだこの微妙な理不尽感は。とりあえず、今回はそんな感じだろうか、後はボディサイズとかそういった質問ばかりだしな」

すずり
「……怒りと悲しみって、こういう時に同時に感じられるのね」

リチャ
「さて、とりあえず今回はこんな所だろうか。すずりに対して個別の質問があったりした場合などは、また後日に改めて語る時もあるだろうしな」

すずり
「そうね。ちなみに次は穂乃香なのかしら?」

リチャ
「うむ、それでは……ウサギ的に頑張ったのでちょっとゴロゴロするか」

すずり
「何か微妙にお気楽感が漂ってるわね……アンタってば」