そのじゅうなな
リチャ
「さてさて今回は姫巫女の中で、最もグータラしていると言われている駄目隊長。雀宮小鳥隊長をおよび……(踏みっ)げぶらはぁっ!?」
小鳥
「誰が駄目隊長だ、誰が。まぁ、普段からグータラしていたりアルコールの摂取量が多いという点に関しては否定しないが」
リチャ
「普通はそのあたり否定するんじゃないだろうか……」
小鳥
「事実は事実だ。何より無為な否定をしてみた所でそういったグータラとかアルコールの摂取量に関しての現実がある。お前さんがどんなに否定してみた所で駄目ウサギなのと一緒ってこった」
リチャ
「ちょっ、ちょちょっ。そんな、我ながらかなり役に立ってますよ、かなり激しいウサギップリですよ。皆様に愛されるように日々生きてますもの」
小鳥
「気にするな。世間はそんなお前さんの駄目っぽい所を愛してくれてるんだ。良かったじゃんか、駄目ウサギで」
リチャ
「なんという暴言! ウサギガッデムですよ! 挑戦状とか叩きつけちゃったりするよ、ウサギ的にゲームで!!」
小鳥
「ほう、それは中々強気な発言じゃねーか。なんだ? スマブラでも勝負するか?」
(中 略)
小鳥
「……このクソウサギっ。何かハメ技とかチートとか使ってんじゃねーだろうなっ。なんでだよ、どうして一度も勝てないんだ……ッ!!」
リチャ
「HAHAHA! 勝負あったな駄目隊長。そもそも隊長殿は大技とかに頼りすぎで動きが見え見えなのだー。そんな訳で今日は質問責めにしてくれるっ!」
小鳥
「ちっ、仕方ねーな。ほれウサギ、とっとと質問してこいや」
リチャ
「ところで小鳥さんは戦闘力抜群という事らしいのですが、そんな小鳥さんが苦手とする鬼はどういった感じでしょうか?」
小鳥
「そうだな。ぶっちゃけ斬りにくい相手が苦手だな、身体が液体とかなのが厄介だ。ゲームとかで言うスライムとかいるだろ、あれは戦いにくい」
リチャ
「実際に遭遇した場合とかはどうやってるんだ?」
小鳥
「スライム系っていうのか、そういうのは基本的に核みたいな部分があるんだよ。そこを全力でぶった斬れば問題ない」
リチャ
「それだけ聞くと、実際に戦ってもどうにかなりそうな感じではあるが」
小鳥
「斬れればな、斬れれば。ウサギもちょっと戦ってみればわかるが、あれを斬ろうとすると周囲の液体がこっちにおおいかぶさるようにして襲いかかってくる」
リチャ
「溺れそうだ……」
小鳥
「相手にどこか身体の一部を包み込まれたらそれだけでヤバくなるからな。こっちが叩ッ斬るか、相手に呑み込まれるかという事だ」
リチャ
「シュノーケルとかアクアラングを持ち込めば楽に勝てそうな気がするのだが」
小鳥
「今度スライム系の鬼が出たらお前さんにアクアラング準備してやるから、てめー戦えよな」
リチャ
「う、ウサギは非戦闘員ですよ!!」
小鳥
「知るかボケ。あとは戦うと別の意味でアレだ、生理的に苦手な鬼ってのがいるとしたら臭いがキツいようなタイプのだな」
リチャ
「臭い?」
小鳥
「身体の一部が腐ったりしているような連中とかいるんだよ。鬼つっても半分死にかけの身体を強引に動かしてるゾンビみたいな感じのもいてな」
リチャ
「あ゛ーっ、あ゛ーーーーっ。とか言いながら歩いてくる連中だな」
小鳥
「いや、全部があんなんじゃないんだ。中途半端に足が速かったりだとかするのもいて、正直あまり得意じゃない。見た目も怖い、斬ると臭いと悲惨な感じでな」
リチャ
「ものすごく関わり合いになりたくないタイプの鬼だな、そいつは」
小鳥
「真面目な話な。その手の連中は真魚に相手してもらって、遠くから飛び道具でバンバンと対処する事が多いんだ」
リチャ
「戦えよ駄目隊長」
小鳥
「お前は自分が基本的に戦わないからって本当に好き勝手言うよな。連中の臭いがどれだけキッツイのか、本当に教えてやりたいよ」
リチャ
「そういえば穂乃香嬢の時は、固くて斬りにくい鬼は苦手だって事を言っていたが。隊長としてはそういうのは無いのか?」
小鳥
「固くて斬りにくい? 速くて斬りにくいじゃなくてか?」
リチャ
「固くてと言っていたが」
小鳥
「慣れれば斬れるようになるさ、固いのなんてのは。あと固いヤツは身体が固いって事で今度は動きなどに制限も出てくる訳だから、ひっかきまわすという手もある。とはいえそのあたりは……慣れだろうな」
リチャ
「小鳥は斬れない相手に出会った事ってのが無いのか?」
小鳥
「今ん所は無いな。まぁ、穂乃香が出会ったヤツと同じタイプとか同じような固さの鬼にあたしが遭遇する可能性というのも難しいから。比較になりにくいのかもしれないが」
リチャ
「ふむふむ。ところで小鳥は得意科目とかそういった部分というのはどうだ?」
小鳥
「もう学生という身分じゃないあたしにそんな事を言われても困るんだが。得意科目は家庭科で、不得意科目は体育って事になってる」
リチャ
「……は? 今正直、このウサギは耳を疑ったのだが」
小鳥
「あくまでも成績上ではそうなってるって事だ。ちなみに種明かしをするのなら、家庭科の授業は実習でメシが食えるから好きだった。体育は腹が減るから見学したり、途中で負傷退場のフリして保健室へ逃げたりしてばかりしてた」
リチャ
「それは普通に早弁したりいくつかの手段があると思ったんだが」
小鳥
「育ち盛りだったからな。何はともかく、実際の成績ってのはそういうモンだったとしか言いようがないし」
リチャ
「じゃ、他にもうちょっと好きな科目とかってのはどうだ?」
小鳥
「化学は好きだったな。実験とかで色々な薬剤とかこう爆発させるのとかあったろ。あーゆーの見てるとスカッとして楽しいよな、ズッバーンってさ」
リチャ
「非常にわかりやすい感想混じりの意見だな、それはそれで」
小鳥
「あたしゃ思うんだけど。あんな感じで授業が全部楽しかったり、実践的だったら身に付きやすいんだけどな。どうも椅子に座ってぐちぐちやられてても困るさね」
リチャ
「まぁその方が楽しいとは思うが。他人に物を教えるというのは難しいモノだったりするからな、基本的には」
小鳥
「やれやれ、だな」
リチャ
「それでは次の質問、と。小鳥さんはどうしていつもあんな軽装というか、破廉恥な服ばかり着てるのでしょうか。もっと大和撫子として清楚な女性が好みなのですが」
小鳥
「うっさい、趣味じゃボケ」
リチャ
「おああああああああっ! なんて、質問してくれた人に対して恐るべき剛速球な暴言のストレートボールを放つとは」
小鳥
「いや質問の内容があまりに失礼だろコイツ。大和撫子が好きとか、清楚な女性が好みとか個人の性癖までとやかく言うつもりは無いが。あたしの服装を破廉恥とか好き放題言われるのは筋違いじゃねーのかと」
リチャ
「確かに小鳥は活動的な、そういう格好をしている部分とか立ち振る舞いも含めての小鳥だって事だしな」
小鳥
「そういう事だ。仮にあたしがフリフリのロリータファッションとか。ゴスロリとかを中心に履いたりしてみろ、似合うか? 似合うと思うか? あたしは思わない。だからあたしはそういう服とかは着ないさ」
リチャ
「ある意味潔い姿勢だな、それはそれで」
小鳥
「まぁ結局ん所、服ってのは趣味だ。あまり理由とか関係なしに、なんかコレがいいなって思ったら着るとしか言いようがなくてな。特に春後半から秋前半の暑い時期は涼しい格好がしたい、ってかさせてくれ」
リチャ
「ちなみに冬はどういう格好をしているんだ?」
小鳥
「コートをはおって、中は全裸だ」
リチャ
「……今日から駄目隊長ではなくて、痴女隊長と呼ぶべきだろうか」
小鳥
「信じるなよ馬鹿たれ。あぁそうだな、ウサギの毛皮のコートとか好きかもしれない。むしろ今とれたて新鮮のヤツとか良さそうだ」
リチャ
「ぎにゃぁっ! それはちょっといくら何でも無理だ無茶だ無謀だぁっ! というかウサギ虐待は非常によろしくない、人道的観念から見ても!!」
小鳥
「冗談はともかく。冬の服装はまちまちだが、さすがに寒いからストッキングを履いてる事は多いな」
リチャ
「ふぅぅぅぅ。あやうしあやうし、このウサギ、絶命寸前だったわい」
小鳥
「さて、次は……小鳥さんは脱兎という技を持っているようなのですが。実際にはどういった技なのですか? ふむ」
リチャ
「バックレる技だよな、ヤバそうな時に」
小鳥
「正確には巫力を足に入れるという荒技って所か。一時的な脚力向上と言えば聞こえは良いんだが、足へのダメージが極端にデカい。それを使った後での継続戦闘には明らかに向いてないため、戦場からの離脱の最に使っていくのが良いって訳だ」
リチャ
「文字通り、脱兎のように逃げる用途でしか使いようが無いって事なんだな」
小鳥
「ちなみに白兎隊でなくても使う事は出来るが、あまりこの手の技ってのはそう覚えたりしない連中も多いんだよな」
リチャ
「それはまた何でだ?」
小鳥
「使用用途が限られている割に、実は習得しずらいからだな。さらに一度使ったらヘロヘロになるような技じゃ、使う事を他人に勧められない」
リチャ
「つまり小鳥がそれを使わないとならないというのは、本当にいっぱいいっぱいの時だったという事なんだな」
小鳥
「ま、そうなる。もっと逃げる為に良い技があればいいのだけどな、本当は。どうも日本人の美学として『滅びの美学』って発想があるようで、逃げる技とかについてはあまり研究とかされてなかったりするし」
リチャ
「逃げる逃げないで言うと、姫巫女が無事に引退出来る確率とかってどんなモノだったりするんだ?」
小鳥
「時代背景と、戦った鬼、地域によっての差が著しく激しいんだよな。あたしが知ってる限りでは先代の白兎隊隊長は普通に引退している。それに伴って幾人かの白兎隊隊員も鬼に襲われる事が無いまま引退してるが……」
リチャ
「小鳥が隊長になってからが波乱の日々になったんだっけな」
小鳥
「あぁ、そうだ。藁々、あるいは真藁と呼ばれる連中を中心にして、連中が力をつけた時期があって。それと正面衝突する事になったからな。ちなみに白兎隊はあたしと真魚以外は、鬼達に敗北して襲われるという結果になった」
リチャ
「だから白兎隊は人数が少ないって事なんだな」
小鳥
「で、先代の隊長の時とあたしの時。これを比較するとあまりにも差があるし、平均値を求めても実際とはかけ離れた数字になりやすいって事になってしまう訳だ」
リチャ
「統計とかで見る事の出来ない現実という訳だな。正直、そんなリスクを抱えながらも鬼と戦う姫巫女に対してウサギ的には尊敬してしまう」
小鳥
「そんな大仰なモンじゃないさね。ま、とりあえず質問はこんな感じか?」
リチャ
「最後に、他の白兎隊隊員について思ってる事とか」
小鳥
「真魚はもうちょっとアルコールの量を増やしても怒らないで欲しい。穂乃香は真面目すぎるから肩の力を抜け。すずりは、あまり張り切りすぎずに穂乃香と一緒に行動すると良いペースになるんじゃないか?」
リチャ
「いきなりまとめてズババッと来たな」
小鳥
「あまり他人の事をこう、色々と語るのはピンと来なくてな。んじゃ、とりあえずこんな感じで良かったのか?」
リチャ
「ウサギ的にもバッチリ!!」
小鳥
「よーし、じゃお前コントローラー握れ。早く」
リチャ
「え?」
小鳥
「あたしが勝つまで家に帰れると思うなよ。それと手抜いたってわかったら、それはその時点でぶった斬るかんな。あと真魚、今日はピザとビール。あとコイツ用のニンジンスティックをたっぷりと準備しておいてくれ!」
リチャ
「え……え、え?」
小鳥
「今夜は寝かさねぇからな、覚悟しろよ」
リチャ
「のぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」