くらいくらい夜の闇、村を白い霧が包む時。
狼の遠吠えが聞こえ、人々はお互いに争いあう。
ひとり、またひとり。
村人は霧の住人となっていく。
やがて村を包む霧が晴れる時、村には誰も残らない。
誰も、一人も・・・残らない。
――村に住む女性、ペティは数年前に両親を亡くしていた。
家無き子として村にいる豪商の家に引き取られたが、その家では虐待される日々。
救いのない日常を繰り返す中で、ペティは村全体に対しての憎しみを抱くようになる。
「ねぇ、霧に包まれた村の話って知ってる?」
ある日、ペティの前に差し出された救いの手。
その手を差し出した女性、レミィは自身を大神の使徒と名乗った。
大神の使徒は、その神通力によって世界の理をねじ曲げる、魔法を使う事が出来る。
しかしその対価として、供物として人々の命を捧げる必要があった。
ペティはその手を握り返し、大神の信徒となる事を決意する。
自分を虐げる村人への怒りを解放し、自由を手に入れる為に。